##4 間延びした縁側、寂びた扉一時、囁く歌を知る

屋敷には誰もいない。

何かを求めて、僕は足を進める。

届くはずの声は震えず。

実るはずの未来は途絶えた。

その先にあるまだ観ぬ物語。


誰かが隠し事が明かされるのを待っている。

何時、りょうの手を差し出す。

誰の身の潔白を明かす為に。

知っていながら何もしない者への手向けとして。


光陰を穿った弓は、今は何処に。

放たれた言葉は宙を舞い、誰のもとへ。

意識が突き抜け、クジラたちは漂う。

扉にかける手を、吹き抜く風だけが知っていた。


止まらぬ連鎖を、繋いでいく不幸せ達。

賭した者が辿り着くのは何処だろうか。

目を凝らし、喉元を掴み。

眼前の景色を捉える。


午後の陽射しは、変わらない。

僕は、届かなかった者達の意志を知る。

星が降る夜に君に会えた事を。

僕を捉えて離さなかったその眼差しを。


僕は忘れることはないだろう。

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