replay:『Ⅻ』-流行に捕まる-

「っ………、逃げ出しちゃった……どうしよかな…」


あのあとひたすら泣きながら走り走って…


気付いたら遠くまで来ていた。

いま誰かに捕まって戻されたりしたらどんな罰則が待ってるか、周りの人達になんと言われるか、怖くて戻ろうかとすこしでも考えた事を頭を振って止めることにした。


「スパイじゃないったって…信じないかもだし、殺されちゃうかもだし……。みんな、優しかったのに…ごめんなさい。」


そう思い、ふらふらした足取りでどこかの崖まで来た。


「…」



ここから落ちたら地獄にでもいくのだろうか。



そっとその空間に足を踏み出した、

その時だった。









「このときを待っていたよ、気が付かないくらいに相当弱ってくれてどうもありがとう。」


誰かにそれを引き止められ、後ろから抱きしめられた。

ただし、それは仲良しの隊員でも、

いつも良くしてくれた上官でも、

あの時の兵士でもない。


_________ あの、指導員の声が耳に響いた。

心臓が止まったような気がした。


「これだから子供狩りはやりがいがある。」

「な、ん…で………」

「そういえば、ココ最近子供狩りが多い事、まさか知らないとは言わせまいよ??」


彼女は頭をめぐらせる。

確かにココ最近子供が行方不明になる事件が多発しているという情報が出回っていたので、その注意書きを見回りの警備隊に張り紙を配ったことがあった。

「思い出したかい?そう言えば君、張り紙を配っていたけど、

注意を促した側が捕まるとは、手本にならないね。」

「________ィッ!!」


まさかこの人物がそうだとは。

情報を集め、注意を促し、

そしてこの始末。


情けなさと恐怖に動けなくなっていれば、首に何か刺された。








「君のようなつかえないやつでも使える方法があるさ、安心しなさい。」





手始めに、実験体としてから始めよう。








彼女はそのまま連れ去られて行った。









(だれか たすけて)

(こえは とどくどころか でることもなかった)

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