memory:『Ⅶ』-バカと天才は紙一重-
プロメティア帝国の軍隊基地。
養成所にはいって1年目のスノウ。
兵士の上司にあれだけのことを言い放ち、興味をわかせた少女だが…
早朝、朝5時。
「いやぁぁぁあ!!!!!」
「こら!!スノウ候補生!!そとに、で、る!!!」
「戦いたくないぃいぃい!!!資料見てるぅぅぅ!!!!!」
脚を教官に引っ張られながらも部屋のドアにこれでもかと引っ捕まる。
その腕力を是非とも訓練で活かせばいいのに…と、周りの生徒たちはボーゼンとみていて、
他の教官たちは、
「おお、もう朝か。」
「いつもこの時間にこうだと目覚ましになるね、煩くて。」
どこか遠い目をしながら目覚まし代わりにしていた。
「ぶぇっくし!!」
「おいこら!!くしゃみで手を凍らせてドアにくっつけるな!!」
「ぎゃぁぁあ!!!きだなぃいぃい!!!」
「お前がやったんじゃろがい!!」
「ほらほら、これ以上教官怒らせたら怖いよー?魔法ときなよ。汚いし。」
「無理!!わかんない!!!」
((((馬鹿だ、コイツ)))
全員がそう思い、
後に魔法が解けたあとスノウは1時間説教を受けた。
「お前、まじ足引っ張んなし、なんで入ってきたんだよー。」
「やーめーろっ、やーめーろっ。」
それもあり、個々に種別が違うがチームを組んでいるため、イジメが無いわけでもなくスノウがまた引きこもる訳で、教官たちは頭を抱えていた。
さらに、そんなことを話し合っている最中、廊下から1人の生徒がノックをしてきて、嫌な予感がした。
「教官!またスノウ候補生吐きました!!!」
「「「はぁーーーーー……」」」
どうやらスノウがまた悪口を言われて泣き出し吐いてしまったらしく、全員の頭を抱えさせていた。
そんな日々が続いている中、
いっその事、掃除係とかの方が向いているのでは…と、教官たちは諦めつつあった。
そして、その夜、話し合いの結果。
遂に教官たちは上にスノウ候補生の除隊を提出しようとした。
そんな時だった。
候補生達がねしずまっているはずの夜。
教官たちのひとりがスノウを呼び出す為にスノウの部屋へ入ろうとノックをした。
「んん??」
魔術を使用した戦法を指導するその教官はドアノブに違和感を感じ、ゴム手袋をしてノブに触れる。
バチバチバチッ
「………なるほどね、素手て触れたら痛かったかもしれんな。」
そっとノブを回し、ゆっくりとドアを開ける。
ノブの裏には傍から見ればゴミの塊だが、それをうまく使い、ノブに触れたものに静電気を起こすような使用になっている簡易な物がテープでくっついていた。
部屋はたまに違反物を持ってきていないかどうか教官が見回ることもあり、
スノウの部屋はほかとあまり変わった様子はないように見えた。
布団には丸まって呼吸をしている様子のスノウらしき人物が眠っているのを確認し、声をかけるが反応がない。
「スノウ、悪いが起きてくれ。話が……っととと。」
カーペットに足がつまづきそうになる。
「ん………?」
その行動で中央に大きく敷いてあったカーペットが少しズレたことで視線を下に向けると、なにか違和感を感じた。
「……ここの寮の床は…こんなに柔らかかったか??」
軽く足踏みをすると、なんとなくクッションがあるように感じた。
よく見ると、廊下とこの部屋だけ妙に段差があることに気がつき、教官はカーペットをひっぺがしてみた。
すると、カーペットの下は4つの他の部屋の床と同じような模様で、厚みのある板からのカーペットがさらに、敷かれていた。
「そういえば、以前下の階に足音が響くのが嫌だといって、板模様のカーペットを欲しがっていて渡していたな……が、これは…………。」
板の下に何かあるのか、資料のようなものがはみ出している。
1枚引っ張り出し、読んでみる。
「………これは、この軍部の人間の…観察日記か何かか?」
そこにはこの養成所のうちの一人について事細かく書き記してある。
「まさか……。」
「おい、遅いぞ……ん?何見てるんだ。なんだ、起きないのか?」
他の教官が遅いので見に来てズカズカと部屋に入り、そしてスノウが寝ているであろうベッドの毛布を捲った。
「おい、おき_____________っ、なんだこれは!!!」
「!!!!」
そこにはスノウ…………ではなく、
空気の入ったゴミ袋の口に手押しポンプ、そしてそれを押したり話したりする少し重めの水のみ鳥のようなものが設置してあった。
「おい、アイツこんなこと出来るなんて…!」
どうしたどうしたと、心配で見に来た他の夜の見回りにきていた教官たちもスノウの部屋に来て、
最初に来た教官とともに、床のカーペット擬きと、
さらに壁紙が何故かテープで四隅を貼っていたことに気がついたことにより、壁紙も一斉に引き剥がした。
そして、部屋を見た教官達は目を見開き、ありえないものを見たという顔で口を開けてその場に固まってしまう。
「なんてことだ……」
そこには、沢山の何かの写し書きや今までの授業でのノートのページ。
写真…ルール…模倣図…。
この養成所と軍部についてのほとんどの情報。
そして少女自信が独学や観察力、収集力を駆使してかき集めた一人一人の戦法、弱点、構成などの個人情報が壁一面に張り巡らされていた。
床には、魔術についてのもう何を書いているのか分からないが、それらしい式やイメージ、図案がビッシリと沢山ばらまかれていた。
「おいおいおい…、アイツはスパイか何かか?!」
「とりあえず、スノウ候補生をさが……」
「指揮官、あれを!!」
スノウの部屋の窓があいていている。
冷たい風が、部屋中の紙を少し揺らした。
急いでその窓から教官たちは見下ろす。
眩い光が見えたその先、
「_____ てんかい。」
演習場いっぱいに大きな魔法陣を創り出し、その中央。
「まいおどって、わたしのちょう。」
大量に出現した青白く輝く蝶のなかに、
スノウはいた。
唐突に少女の魔法を魅せられた教官たちは時が止まったように動かなくなる。
ひとつの蝶を指先にとめさせ、ながめる。
「よし、くずれない。
今日はここまでにして、けっか書いてあとは寝るだ」
ふと自分が抜け出したであろう自分の部屋の窓を見た。
その瞬間、魔法陣と蝶は光の粉となり砕け散り、スノウの背にはただ冷や汗がダラダラと流れた。
「・・・・・・。
(み、
みられたぁぁぁああああ!!!!!!!!?!?!?!)
_____________ こ、こんばん…わ??」
その後、スノウは大人しく教官たちに捕まり、スパイか何か疑われたが、
読心術のエキスパートに頼んだ結果。
どうやらみんなでやるのが嫌で、
イジメもあったことによりこうして夜な夜な1人で練習したり、
対戦相手の情報などを掻き集め策をとったり、
知りたい情報をかき集めたりが趣味だったようで。
最終的にはめちゃくちゃ泣いて嘔吐したので、ただのおバカということで解決してしまった。
ただ、今回のことにより、
魔力がほとんどコントロール出来ること。
情報部に向いていること。
戦術も、その日のうちにひとりの教官と対戦したが、スノウが打ち負かしてしまったことに強くあったことが分かってしまったことにより、
彼女は幼いながらも養成所から、
その日のうちに軍の基地に移動させられ、情報部に配属することになった。
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