memory:『Ⅳ』-なくならないこと-

「お前、そんなんだからすてられたんじゃねーの??」


スノウ、6歳。

魔力がうまく使えないとこを新しく入ってきた年上の子に言われた言葉。


「ち、ちがうもん!!」

「ちがくないだろ、お前、ひよわだし、まほう下手くそだし、あたまわるいじゃん。」

「やめなよー。スノウ、向こういこ??」


「うん」と言った瞬間、その年上の新人は、スノウの手を引こうとしたその子の背を強く蹴り飛ばした。

「っ…うえぇえん!!」

「ちょ、なにすんの!!」

スノウは直ぐに倒れたその子の側により、そっと立たせる。

そして、その子を庇うように立つ。

その目は怒っているのが直ぐわかる。


「お前いると、あぶねーんだよ。だから、魔力うまく使えるようにする練習してるらしいけど、ぜんっぜんうまくねーし、むしろあぶないんだよ!」


「いつかできるようになるってシスターも言ってたもん!!できるもん!

なのに、なんでこんな事したの!」


「お前けったらぼうはつして、なに起こるかわかんねーんだよ!

だからそいつ蹴ったんだよ!」


「わ、わたしのせいって事?」

「ちが、うよスノウちゃ」

「そーだよ、お前がちゃんとできる奴だったらお前蹴ってたよ。

でもお前けってぼうはつして、ころされたくねーし!」


無邪気な心と言うものは簡単に人の心を傷つける。

そして、たしかに新人がいったそれらのことは今後起こらないとは限らない。

「お前、もしかして産まれた時にいみごってやつだったんじゃねーの。だからすてられたんじゃねーの??

お前が居ると不幸になるとか??うわ、こわー。」


ケラケラと笑う声が辺りに響き、他にいたスノウとは初対面の子達もヒソヒソとスノウを見ながら話している。

スノウはその周りの目に耐えられなくなり、体が震えていた。


「いこ、スノウ。」


なんとか立った友達は動けないでいたスノウの手を引っ張り廊下を走っていった。







その時の出来事は新しく入ってきた子にどんどん広まっていき、

以前からいた子達も少しずつスノウから遠ざかり、スノウ自身もまだ自身と仲良くしている子達がまた蹴られるのではと思い、

友人達の心配そうな目を大丈夫だと言って身を引くようになっていた。




暫く時が経つうちに、少女の昔ながらの友人達は次から次へと引き取られていき、

少女は窓際で静かにその様子を手を振り見送っていった。

廊下に出れば虐められ、人を避け、心配したシスターは少女を別室に移し、安心できるよう、暴発しても平気なよう、虐められないよう、

少女をあまり人目がつかず、シスター達が近くで把握しやすい孤児院の別室に、少女を移すことになった。






(夜になると、白髪のお化けが屋根にいる)


(そんな噂が出て、またシスター達は頭を抱えた)

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