memory:『Ⅲ』-興味と好奇心-
あれからまた一年経ち、
スノウ、5歳。
「すのう、またここにいたー。」
孤児院の図書室。
魔法に興味を持ち始めたスノウは魔法についてなどの本を良く読むようになっていた。
薬草、魔力、魔法陣、職種、それらの乗った図鑑、魔獣、魔術、魔導書…。
ただただそれをひたすら眺めては次の本へと目を移す。
「よめるの?」
「あんまりよめないけど、おもしろい、なんか。」
そう言いながら、たまたま声をかけてきた獣人の子の耳を触り始める。
「あっ、ちょ、やー!」
「こうなって、こう…へー。あっまってもうちょっとみして!!」
「もうだめー!」
「何を騒いでいるの?…ああぁ、また貴女って子は。こらこら…。」
廊下でたまたま歩いていたシスター達に止められてしまい、獣人の子はほっとしているが、スノウは満足いかないのかムスッとしてる。
「ほら、ごめんなさいは?」
「ごめんなしゃい…」
「ごめんなさいしてくれたし、許してあげて頂戴?」
「うん、いいよー。」
それでもスノウの目は獣人の子の耳が動く様子をまだ見ていた。
「話があるの。ちょっといいかしら。」
あの後シスターにそう言われて手を引かれ、シスターの個室へ招かれたスノウ。
「ちょっとまってね。」
シスターが書類を少し片付けている間、スノウはひたすら部屋にあった大きな本棚を眺めていたり、シスターの手元をみたりしながらソファーで足を揺らし待っていた。
「少し早いと思うけれど…、貴女、もう少し強めの魔法の勉強をもっとしてみたいと思わない?
貴女の魔力は他の子と違って少し強さがあるみたいだし、才能があるかもしれないの。」
「そうなの?でも、ごほん、ぜんぜんよめなかったよ??」
「それは他のお勉強中にお外向いてるからじゃないのかしら??」
「う。」
興味の湧く授業以外はまったく聞いていなかったようで、好きな授業中以外は点数も低かった。
それとは別に、魔法に関することや好きな分野には好奇心に負けて、部屋中の壁に水をぶちまけてから歪ではあるが、氷のシャンデリアを作るという芸をやってみせた。
そして、好奇心といたずらしたい時期なのか。
先ほどのようなセクハラかと思うくらいに耳や尻尾など、人間についていないものを触ろうとする癖がちょくちょくあった。
それらのことも踏まえ、しつけのためにも、そして魔法のコントロールのためにも、個人レッスンを追加するべきだと判断した。
「魔法は、他のお勉強もきちんとしないと上手く使えないし、それに、うっかり友達を魔法で怪我させちゃったりしたらどうするの??」
「……やだ。」
「でしょう?ここに居られなくなっちゃうくらいの大怪我させたらどうするの?」
「やだ!!!すてられたくない!!」
ここにいるほとんどがそうだったが、スノウは自分が捨て子だということに心を痛めていた。
「なら、お勉強しっかりしましょう?ね?」
「……はい。」
次の日からスノウは普通の授業を含め、本格的に魔力のコントロールを始めた。
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