memory:『Ⅰ』-あれから-
「すのー、きょうはおそとであそぼーよ!お・そ・と!!」
「えー……ここにいるー。」
「もー!ひきこもり虫になっちゃうよ!!」
「まったく、あの子は…。」
「でも、ちゃんと元気に育ったじゃないですか。一時は凍傷が酷くてどうなるかと思いましたし。」
「まぁ、そうね…他の子達も仲良くしてくれたから良かったけど…。」
「みんな、「ほっぺぷにぷにだー!」って。突っついてましたもんね。」
名前、スノウ。現在3歳。
本籍地、不明。出身、プロメティア帝国某孤児院。
3年前にこの孤児院のドアの前で拾われた赤子はひどい凍傷だったが、
今こうして他の子供たちと元気に戯れることが出来たのは、先輩孤児の子達とシスター達のおかげである。
この孤児院では、様々な種の孤児を預かっていた事もあり、赤ん坊のスノウは特に孤児同士の喧嘩や虐めもなく育っていった。
ただ、本当に問題がないか。
と、言われると…
「はーやーくー!おーにーごっこーー!!!」
「やーーーー!!!!」
「こらこら、やめなさい!
スノウ、貴女もたまには日に当たってお外で遊びなさい!別に日に当たって溶けたり焼けたりしないから。」
「いやじゃぁあ!!はいになるぅう!!!」
「お前は吸血鬼か。」
シスターが盛大にため息を着くほどに、少女は外に出るのを嫌がり、
更にはもっと問題が。
「ぶえっくし」
ヒュッ…キラキラキラ…
「ぎゃー!!せんせー!またすのー、あいすじぇっとしたーー!!」
「あーもう、また…。」
誰かさん命名、アイスジェット。
_____________ スノウのクシャミが凍って飛んだ事から、この名前がついた。
つまり、鼻水攻撃である。
「参ったわね…」
「ふぇ…」
やり方ともかく、その問題というのはスノウは産まれながらにして魔力が高く、使用ができることが最近分かったことと、まだコントロールが効いていないという事だった。
まだまだ問題点はいろいろあるものはあるが、
コントロールが上手くできないことにより、こうして暴発することも多々あり、他の子達が怪我をしないか心配があった。
今は幼いからと言えど、いつか大きくなった時、不意に暴発なんてした時、他の子達や周りに被害がないとは言いきれない。
周りはそれを理解し、本人にも言ってコントロールの術を教え始めてはいるが、そう簡単に、ホイホイ小さい頭で覚えるのは難しいことだった。
「ご、ごめんなしゃ……うえぇえん!!!」
「あ、やば、あー、なきやんでーすのー!」
「じゃないと、また…」
「はいはい、皆一歩下がってー。
はい、バケツ持ってきてー。
はいっ、さん、にー、いち。」
そして、
「ぅ……うぇぇぇえん!!!うぇぇぇ!うぇぇぇ……
おえっ。」
「せんせー!こぼれずにきゃっちできました!」
「よく出来ましたー。」
そして弱虫なのか貧弱なのか、
大泣きするとよく吐く。
「はぁ………まったく……」
「まぁまぁ……いいじゃないですか、こんなでもほら。」
(大丈夫?と聞きながらなだめる子達とアイスジェットガールを見てため息を吐くシスターだったが、
それでも直ぐにまた楽しく騒いでいる子供たちをみて、シスターは小さく笑った)
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