第88話 カキ氷
「ミュウ、頼む」
「任せてください。氷魔法は得意なので」
当たり前だが、グレートデザートは暑い。
夜は寒いが、昼は一年中暑い。
海ができたのでこれから少し和らぐかもしれないが、今はとにかく暑いので、私は『ネットショッピング』で購入したカキ氷機を用い、フワフワのかき氷を作っていた。
業務用で二十万イードルク近くしたが、これが氷をフワフワに削れて実にいいのだ。
子供の頃に食べたガリガリのカキ氷もたまには悪くないが、どんな食べ物も時代により進化するもの。
どんなにいい製氷機を用いても氷が出来るのに時間がかかるが、氷魔法の達人であるミュウに任せれば、牛乳やマンゴーなどのフルーツを凍らせて削った台湾風のカキ氷ですら短時間で作れてしまう。
「イチゴを凍らせて削り、練乳をかけたイチゴカキ氷。これは素晴らしい」
「ララベル様、私は凍らせた豆乳を削ったものに、白玉、アンコ、抹茶、黒蜜をかけた大人の一品ですよ」
「オレは、凍らせたマンゴーを削ったものに、練乳、マンゴーソース、バニラアイスをふんだんに盛り付けたやつだぜ」
「私は、杏仁豆腐を凍らせたものを削り、バニライアイス、練乳、ブルーベリーなどをのせたものです。タロウ様は?」
「甘くした抹茶を凍らせて削り、粒あんと練乳をかけて食べる。これはいい」
もうイチゴとか、メロンとか、レモンとか、ブルーハワイとか。
そういうお子様なカキ氷は卒業しよう……そのうちリバイバルブームが到来するのは人間の業だけど。
「……やっぱり、○○○○君も美味しい!」
「そうだな。やはりどんなに高級なアイスクリームや氷菓、デザートを食べても」
「○○○○君は無敵ですよね」
「特にソーダ味は至高ですとも」
俺、ララベル、ミュウ、フラウ、アイシャは、砂獣討伐のあと、オヤツの時間、食後のデザートと。
よく『ネットショッピング』で購入して食べているからな。
ちょっと前に、『ネットショッピング』上において○○○○君の定価が上がった時のことだ。
それがたとえ、六十イードルクから七十イードルクでわずか十イードルクの値上がりだとしても、砂獣を虐殺レベルで倒して稼いでいたとしても、とても物悲しかったのを覚えている。
でも、コストに気を使って頑張っているメーカーの人たちのことを考えると……結局いつもどおり購入していたけど。
「セコイゴリね。ゴリは、バナナのカキ氷で。チョコレートソースを載せてほしいゴリ」
ゴリさんタウンの管理を一手に担うゴリマッチョが現れ、なに食わぬ顔でバナナのカキ氷を注文していた。
こいつは、心からバナナが好きなんだな。
チョコレートソースがけは美味しそうだな。
今度やってみよう。
「タロちゃん、私はメロンの味のカキ氷ね。氷は普通のやつで。でもフワフワに削ってね」
「タロウさん、私はコーヒー味のカキ氷をお願いします」
すっかりゴリさんタウンに定着した海の女神たち、マリリン様とウリリン様もカキ氷を所望し、この日はみんなで楽しくカキ氷を食べたのであった。
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