第23話 敗北を知りたい無敗の神
高位なる神々が招く「神々の遊び」。
神々に選ばれたヒトは使徒となり、霊的上位世界「
どんな空間で、どんな
すべては神のみぞ知る。
そして――
フェイたちが飛びこんだ先は、空しかなかった。
鮮やかな青のグラデーション。
水平線のように続く空のなか、眼下に広がるのは真っ白い雲海だ。
上半分が真っ青な空。
下半分が真っ白い雲海。
フェイを含む総勢二十二名の使徒は、そんな世界を埋めつくす雲海めがけて何百メートルと自由落下し続けていく。
「な、なんですかこれぇぇぇぇぇっっっ!?」
ヒュゥゥと唸る風音のなか、パールが思いきり悲鳴を上げた。
「あたしたち落ちていくだけじゃないですか! 空を飛べなかったら失格ってことですか。レーシェさんどうにかできません!?」
「んー……空に浮かぶことも出来ないわけじゃないけど」
真っ逆さまに落ちていくレーシェが腕組み。
空中でパールにしがみつかれながらも、元神さまの少女は実にのんびりした様子で。
「気になるから落ちるとこまで落ちてみない? このまま数万メートルくらい落下すれば地面があるかも」
「地面に墜落してぺしゃんこですよ!?」
「わたし平気だし」
「レーシェさん以外が全滅しますってばぁぁぁ!」
無限に空を落ちていく。
はるか眼下に雲海だけは広がっているが……
「ん?」
フェイが見下ろす真っ白い雲海に、異変が起きた。
轟ッ!
空気が破裂するような音を立て、大海原のごとく広がる雲海が噴火したのだ。ぶあつい綿のような雲に大穴が空いて――
その奥に、ゆらゆらと揺らめく黒い影が見えた。
「っ。
浮上してくる。
とてつもなく巨大な――――
雲海を突き破る、一体の超巨大な――
それは「龍」だった。
「こいつっ!?」
異様に、いや異常に
はるか高度から自由落下するフェイが見下ろしても全容が見渡せないのだ。陽を浴びて、全身が深紫色に照り輝く鱗をもつ龍。
象よりも鯨よりも――
「まさか……」
「あれは!?」
フェイの言葉を継いだのは、同じく宙を落下していく使徒だ。パールの元チームメイトである『
その全員が、青ざめた顔で眼下の巨龍を見下ろしていた。
「う、嘘でしょう、こんな大事な時に……」
「ウロボロスだ!」
その悲鳴に、フェイさえも全身から冷や汗が噴きだした。
ゾッ、と。
その「神」を見た瞬間に背筋が怖気だったのだ。理屈などない。そこに存在するだけで人間に畏れを感じさせる存在――
……こんなの初めてだ。
……今まで出会ったどの神よりも、圧倒的にぶち抜けてる!
武者震いがとまらない。
「こいつが、あのウロボロスか……!」
無限神ウロボロス。
攻略成功者いまだ
過去あらゆる聖人が、超人が、そして
この神を引いたら敗北以外ありえない。
神秘法院本部から戦う前に「降参」さえ推奨される圧倒的なハズレ枠。それがこの超超巨大な黒龍なのだ。
「…………ここでコイツを引くかよ。上等だ」
瞬きも忘れ、フェイは眼下を睨みつけた。
下へ、下へ、下へ。
無限龍ウロボロスの泳ぐ雲海へと、導かれるままに落ちていく。
「挑んでやるさ、
――
VS『無限の成長』ウロボロス
ゲーム、開始。
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