大きな背中@『男らしく』は差別ではない
「お疲れ様でした」
が…
「うう…きもちわる…呑み過ぎた……」
毎朝一時間
「タクシー呼ぼ。…充電切れ!?はぁ…サイヤク…」
そう呟いた時だった。
「先輩、ですよね?」
「えっ!?」
突然私に声を掛けたのは中学時代の吹奏楽部の後輩だった。
「あ、あれー?久しぶりじゃん。二十年ぶりくらい?」
「十一年ぶりですけど、それってネタですか?取り敢えずタクシー呼びますね」
精一杯平静を装って体裁を保とうとした私に後輩はあっさりと言った。
「い、いやいや大丈夫だから!歩き疲れたから休け…うんそう!休憩中!家すぐそこだし!歩けるから!」
「近いなら…どうぞ」
「っ!?どうぞっておんぶとかは恥ず…」
「どうぞ」
久しく会っていなかった後輩の背中はすっかり男らしくなっていた。
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