儚さとは無縁の日々@儚さで満ちた手紙

『追伸…この夏が終わる頃にはいよいよ僕も一人前と認めて貰えそうなので帰れる日も近いと思います。もし本当に帰れたなら一番に会いに行きます。まだ決まったわけではありませんが会えるのがとても楽しみです。くれぐれもお元気で。』


 そこには会いたくても会えない恋人に対するが込められていた。

 先月亡くなった曾祖母の遺品の中から出てきたこの手紙は曾祖父が書いた物で、まさしく恋文と呼ぶに相応しい内容だった。修業の為に郷里きょうりを離れた曾祖父とその帰りを待つ曾祖母、二人は再び会える日をどんな想いで待っていたのだろうか…

 私はその手紙に二人のを感じた。


「連絡手段は手紙だけ。スマホで簡単に連絡が取り合える現代人にはわからない心境きもちなんだろうなあ」


 私はポツリと呟き、その手紙を丁寧に畳み直して封筒に戻した。

 曾祖母宛の手紙を勝手に読んでしまったのは申し訳なかったが、手紙の中に満ちていたに私は心を打たれていた。

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