言葉の迷宮~破壊~@あっさり言うなし!

 長い付き合いだからこそ言えない…現状が心地好いからこそ踏み出せない…

 私は自分の想いが造り出した迷宮に惑わされていた。


「あ、あんたってさ…す、好きな人とかいないの?」


 これが私の精一杯だ。

 相手に『好きな人いる?』と訊く事で『自分の事が好きなのかも?』というな展開を狙う事が、たった二文字の『スキ』という言葉を言えない私に出来る唯一のアピールだった。


「ん?それってどんな意味?」


「ど、どど、どんなって!?」


「いや、好きってがあるじゃん?友達とか家族とかアイドルとかチョコとかさ」


 チョコは関係ないだろ…つかポ○キー食べながら言うなし。


「まあ、その…友達や家族や趣向とかじゃないやつ?」


「恋愛対象?」


「そ、そんな感じ…」


「いるよ」


「えっ!?」


「目の前に」


「はあっ!?お、おま、そ、それ、そそそ、それって…!」


「うん、お前が好きだよ」


 そんな言うなし!

 私の言葉の迷宮は簡単に破壊された。

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