片想いと相合い傘@変な柄は母の感性

「今日は休みなのにありがとう。って、本降りじゃん。俺は傘持って来てないけどきみは持ってる?」


 片想い中の彼に頼まれて休日に図書館で一緒に勉強をする事になった私達が外へ出ると本降りの雨だった。


「確か鞄に折り畳み傘が…あっ!やっぱりないです!」


「そっか」


「すみません」


「お互い様だし謝る必要ないって。無いならコンビニで買ってくるから待ってて」


 そう言って彼は雨の中へ足を踏み出そうとした。


「あの!本当は…これ」


「何だあるじゃん。貸して、俺が差すよ」


「でもそれ…あ!」


「うわっ、何だこれ!?」


 彼は傘を開いた瞬間に大声を上げた。

 傘には大きな文字で『不滅の相愛傘アンブレイカブル・ラブアンブレラ』と書かれていた。


「母がそういうに目がなくてよく買ってくるんです」


「そうなんだ…でもまあ傘は傘だし。ほら入って」


「いやいや!この柄で相合い傘は流石に恥ずかしいですって!」


「俺はだよ」


「えっ!?」


 彼の言葉の真意を問う勇気が私にはまだない。

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