半分こ@今はこれが限界

「私らって付き合ってんだよな?」


 下校途中に先輩が不意に訊いてきた。


「はい」


 答えながら俺は先輩が人生初の彼女になったという事実を改めて意識して照れ臭くなった。


「だよな。で、相談なんだけど…」


「なんスか?」


「チューしてみないか?」


「チチュ、チュー!?チューってチュー!?せ、接吻のチュー!?」


 俺は明らかに狼狽うろたええていた。


「い、嫌ならいいんだが…」


「嫌じゃないっス!」


「………」


「………」


 の後で先輩はそっと瞼を閉じた。


「…じゃ、よろしく」


 俺は先輩の言葉に促される様に勇気を振り絞った。

 が…


「や、やっぱ!」


 すんでの所で先輩が身を引いた。


「言い出しとしてゴメン!や、やっぱチューはまだずいから今はを半分こしようぜ!」


 言いながら先輩はカバンから未開封のペットボトルを取り出してそれを開けると少し飲んで俺にそれを手渡した。


「…ほら、飲めって」


 先輩に見つめられながらの間接キスは物凄く恥ずかしかった。

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