僕はおじさん@小さな寝顔

「抱いてみる?」


「いいです。なんか怖いので」


 僕はその提案を断った。

 この日、兄夫婦は出産後初めて姪を連れて来た。

 父と母は一足先にと対面していたが僕がと対面するのはこの日が初めてだった。


「わかるよ、初めてだとどう抱っこすればいいかわかんなくて少し怖いんだよね」


 図星だった。

 僕は生まれてまだ二ヶ月と経っていない乳児の抱き方がわからなかった。


「でもまあ、大丈夫だから抱いてみなよ。ほら、こうやって───」


 義姉あねは優しい口調で首のすわっていない乳児の抱き方を説明すると、そっと手を離して姪を僕に


「わっ、あの、これどうしたら…!?」


「あはは、兄弟で同じ反応なのウケる。別に何もしないでいいからそのまま抱っこしててあげてよ、


 言われるが侭に姪を抱き、瞼を閉じた小さな寝顔を間近で見た時に僕は自分の子ではないけれど『守ってあげなくちゃ』という気持ちになった。

 僕はこの子の叔父なのだ。

 まだ中二だけど…

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