表情に答えが…@ラブレター?否、恋文

「ねえ、二人に相談なんだけど…」


 友達同士での昼食中、不意に一人が切り出した。


「どした?」


「また赤点ギリなん?」


ちがくて。これ…」


 それは手触りのいい和紙の手紙だった。


『拝啓。突然のお手紙───。敬具。』


 手紙には受け取った女への想いがつづられていた。


「内容が直球過ぎて読むだけでずいんだが」


「つか今時手書きで拝啓に敬具とか昭和越えて大正かよ」


「…これってやっぱラブレターだよね?」


「つか恋文こいぶみ?」


「それな」


「…ねえ、どうしたらいいかな?返事書いた方がいいよね?」


 手紙には『返事は下駄箱に入れてください』と書かれていた。


「いや勝手にしろし。お前の幼なじみだろうがよ」


「同意。十年来の腐れ縁がやっと恋になったんじゃん?自分で結論こたえ出さんとね」


「そ、そんなこと言われても…なんて書けばいいかわからないし」


 その言葉に二人は同時に心の中でこう言った。


『私も好きって書きゃいいだろうが!』


 女は表情かおに出やすいタイプだった。

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