見ず知らずのエール@見て見ぬふりも出来たけど…

「あんたノートなんか開いてなに書いてんの?帰らんの?」


「これ書いたら帰る」


「ほう、さてはラブレターか?古風な奴よのう」


「なにその口調…つか教室こんなところでラブレターなんか書かんし」


 真実ほんとうだった。

 私が書いていたのはラブレターではなく見知らぬ人への応援メッセージ…



夜の学生へ

突然申し訳ありません、私は昼間この席を使っている者です。

見るつもりはなかったのですが、昨日貴方が置き忘れたお写真とその裏側に書かれたメッセージを見て(読んで)しまいました。

余計なお世話かも知れませんが、私も応援しています。

頑張ってください。

昼の学生より



「よし、出来た」


 私はページを切り取り、一枚の写真をそれに包んで机の中へ入れた。その写真の裏側には『目指せ大検合格!』と『じいじがんばって!』という二つのメッセージが書いてあった。

 そして、表側の写真には六十代くらいの板前風のお爺さんと三十代くらいの女性と五歳か六歳くらいの女の子が写っていた。

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