細やかなサプライズ@ペンギンさん

 ガリゴリガリゴリ…


「ほら、出来たよ」


「やったあ!」


「こら、お姉ちゃんが先でしょ」


「いいよ、先食べな」


「ありがとお姉ちゃん、大好き!」


 ある夏、父が突然買ってきたかき氷機はこの夏も大活躍だった。


「さて、じゃあもう一回…」


「お母さん、替わるよ。疲れたっしょ?」


「平気よこのくらい」


「いいから」


 私は半ば強引に母と交替し、かき氷機に氷を補充して取っ手を回した。


 ガリゴリガリゴリ…


「お姉ちゃんあたしも!あたしもやる!」


「はいはい。じゃあほら、こっちきな」


「わーい!ペンギンさん、いっくよー!」


 ペンギン型のそのかき氷機を妹は『ペンギンさん』と呼んでいた。


 ガリゴリガリゴリ…


「ふぅ…出来たあー!じゃあ…」


 額に汗を滲ませながらかき氷を作り終えた妹は私を見た。

 私はと頷き、妹と共に口を開いた。


「「はい、お母さんの分ね」」


「あらまあ!?」


 母は私と妹が仕掛けた細やかなサプライズに嬉しそうにしていた。

 そんな夏の想い出。

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