#使い掛けのテレカ@#想い出ダイアル

「あら…?」


 押し入れを片付けていた時、ずっと前から使わなくなっていた財布の中から懐かしい物が出てきた。


『使い掛けのテレホンカード』


 まだ携帯電話など普及していない時代ころは必ず持ち歩いていたが、技術の進歩に伴い段々と持ち歩く事がなくなり、私が最後にテレホンカードを使ってから少なくとも二十年以上が経っていた。


「ふふ。そうそう、昔はこうしてのよね」


 私はテレホンカードの裏を見ながらそう呟いた。

 当時まだ若かった私には、その人と結婚するのだとばかり思っていた恋人がいた。

 けど、別れは突然訪れた。

 それが何枚目だったのかは定かではないが、いつも決まって同じデザインの物を買っていたのテレホンカード、その最後の一枚を使い切らない内に私とその人は連絡を取らなくなった。


「あの人、何をやっているのかしらね」


 私は昔の恋人の連絡先が書かれたそのテレホンカードと財布を押し入れに戻した。

 想い出は想い出のままに…

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