恋と愛と世間の目@えっちの次は…

「先に出るよ」


 そう言うと部長は部屋を出た。

 先に出る…

 その渇いた響きが淋しかった。


「まだ二時間あるのに。そんなに私と一緒に居たくないのかな」


 私と一緒に居たくないのかな…

 自ら呟いたその言葉に私は堪らなく哀しくなった。


「私って子供だな…」


 昨夜、私は初めて部長と一夜を共にした。

 その事実が私の胸を熱く締めつけた。

 私と部長は不倫関係なわけでもないし、決してその場の雰囲気に流されたわけでもない。

 少なくとも私にとって昨夜の行為はだ。

 社会人が恋などと笑われるかも知れないけれど他に言い様がない。

 けど、きっと部長は違う。


 恋では抱かない…


 でも、そんな部長にとって私達の年齢差と世間の目がなのだ。

 社会人になって三年足らずの女と四十過ぎの男、この職場恋愛が与える影響は計り知れない。


英字アルファベットならなんだけどなあ…」


 私はそんな事を呟きながら、この恋はだと自分に言い聞かせた。

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