チョコ、レイト、アイス@半年遅れのバレンタイン

 下駄箱、机、ロッカー、家の郵便受け、帰宅後の鞄の中…俺の周囲で「可能性がある場所」は全て隈無く探し尽くしたが、今年もまた俺のバレンタインデーは来なかった。

 そして半年が過ぎた…


「この炎天下で祭りの設営とか正気かよ。下手したら死ぬぞこれ」


「文句言わないの。あなた行事が好きなのでしょう?私が知る限りここ二年ほぼ全ての行事の設営に参加しているじゃない」


 そう言ったのは二年前に同じ町内に引っ越して来た女の子だ。

 彼女は俺よりも一つ歳上で、俺が好きなのは行事ではなく彼女なのだが、俺はまだそれを伝えられていない。


「ええ、まあ」


「なら文句言わないの。あ、でもバレンタインの行事は二度とも不参加ね。…も、もしかしてあなた彼女持ち?」


「逆っす。行事でチョコ貰うとか侘しくて無理っす」


「へえ、そうなんだ。…なら後でチョコアイスあげるわ。だけどね」


 ひょんなことから俺に半年遅れのバレンタインデーがやってきた。

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