照れ隠しのだらぶち@お隣さんはお上りさん

接吻せっぷんとは青春の証、恋の予感に胸をおどらす若き日の…」


 コンコン…


「うひっ!?」


 突然響いた窓を小突く音に俺は間抜けな声を漏らした。


「私です。それです?午前零時過ぎこんな時間ウザいのですが」


「君か」


 そう言いながら部屋の窓を開けると、僅か数十センチ先にある隣の家の窓の向こうにお隣さんがいた。


「距離感わかってます?筒抜けなんですよ。というかさっきのなんなんです?」


「知人が人生初の接吻をしたって言うから接吻でポエムを書いていた」


「女子か!つか接吻って昭和か!」


「接吻は大正だろう。ところで俺と接吻したいと言うのは…」


「はあっ!?したいわけないです!さっさと寝てくださいね、この!!」


 お隣さんは赤面しながら窓を閉めた。


「…接吻したいと言うのはどう表現すれば良いか聞こうとしたんだが。つか、だらぶちってなんだ?」


 だらぶちが方言だと俺が知ったのは二日後で、この件の誤解が解けたのはその更に三日後だった。

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