弄ばれた男の純情@先輩はこういう人

「ねえ、キミは私とキスしてみたいと思うかな?」


「ぶふうっ!げほっ!……ななな、なんですか急に!?あーもー!溢しちゃったじゃないっすか!」


 休憩時間が重なったバイト先の先輩が突然言ったその言葉に驚いた僕は飲んでいたお茶を吹き出してしまった。


「うわっ、きったなー」


「汚いって…いったい誰のせいだと思ってんすか!?」


「ん?それって……」


 膝をついてお茶を拭く僕の耳に、先輩の言葉と共にゴソゴソという衣擦れの様な音が聞こえた。


「私のせい、ってことかな?」


「うわっ!?ちょま、なっ…!?」


 気がつくと僅か数センチの距離に先輩の顔があり、僕は緊張してまともな言葉が出せなかった。

 どうやらさっきの衣擦れの音は床を拭いている僕に先輩が擦り寄ってきた音だったらしい。


「ねえ、責任とってキスしてあげよっか?」


「ななな…!!」


 思わず僕は瞼を瞑った。


「…なーんてね。じゃ、わたし先に戻ってるから」


「えっ…!?」


 僕は先輩にもてあそばれた…

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