ナンパ待ち@波に浚われたサングラス

「わぷっ!?……ぷはぁ…もー、なによ今の波!…あ、サングラス流されたー!?」


「バッカでー」


「パリピ気取ってサングラスなんか掛けてるからだし」


「そーそー」


 友達と一緒に膝上辺りまで海に浸かってビーチボールで遊んでいた最中さなか、私は突然打ち寄せた少し高めの波に足を取られて盛大に転んでしまい、その拍子に買ったばかりのサングラスを無くした。そんな私を周囲まわりにいる友達は全く慰めてくれなかったが、それも仕方がない事だった。

 何故なら、揃ってな私達はこの日、ナンパ待ち目的で海に来ていたからだ。だから皆、彼氏は探してもサングラスは探してくれないのだ。


「はぁ、サイアク…」


 私がそう呟き、再び友達との遊びの輪へ戻ろうとしたその時だった。


「これ、君のだよね?」


「えっ?」


 その声に振り返ると、そこには私のサングラスを手にして優しく微笑む男の人がいた。

 いくら待っていても来なかったをサングラスが連れてきた。

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