既知との遭遇@居合わせた二人

「カンパーイ!」


 その言葉を合図に全員が近くの人とグラスを突き合わせた。

 合コン…それは欲望渦巻く都会の戦場。仁義なき飲み会。


「はぁ…」


「ため息?どしたん?」


「どうもしないよ」


 筈はなく、私にはため息を理由わけがあった。


「んー?あの人見てから変な感じだよ。まさか元カレ?」


「はあっ!?が彼氏だったら自殺もんだわ!」


「へえ、そこまで言う?ま、俺もが彼女だったら去勢するけどな」


「どーゆー意味よ!」


「そーゆー意味だ!」


「まあまあ二人共、昔は愛し合った仲なんだからここは仲良くしようぜ?」


「「誰が愛し合った仲だ!…なっ!?」」


 仲裁の言葉に反論した私との声と動作は完全に一致していた。


「見事にハモったね」


「相性バッチしじゃん!」


 違う!こいつは私のなの!


 そう弁解したかったが、合コンで兄妹が顔を揃えるなんて事が知れたら一生ネタにされる…

 私は何も言えずにこの戦場からの脱落を予感した。

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