エレベーターパニック@意味深な言葉
「わっ!」
上昇というには余りにも乱暴な浮遊感が足下から脳天へ突き抜けたその瞬間、私は思いがけずよろけてしまった。
「おっと」
「あ…」
「大丈夫かい?」
「すみません社長。とんだ粗相を」
よろけた私の肩を抱き止めてくれたのは社長だった。
入社六年目の私とそう変わらない
一方の私はどちらかと言えば日陰者で、四人いる同期の女性社員が揃って職場に指環を嵌めて出勤する中、私の左の薬指だけが空いていた。
「怪我はないかな?」
「いや、さすがによろけただけで怪我はしませ…えっ!?し、社長!?」
社長は突然両手で私の左手を握り、薬指を見つめて口を開いた。
「まだこの籍は空いている様だね。私が予約してもいいかな?…なんてね。それじゃあ私はこの階で降りるよ」
「はあっ!?社長!それどういう意──!」
私の言葉は閉じたドアに阻まれた。
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