重い想い@勝手な私はいつも勝てない

 私は窓際に立って貴方の乗る車のテールランプにそっと呟いた。


「さよなら」


 それは勝手な私に対して貴方が言った別れの言葉と全く同じ言葉だった。


 恋のドラマなんて儚いもので、ほんの少しのが全てを壊してしまう。

 私に向けられていた貴方の愛は「この世界に君だけがいればそれでいい」というが込められていた。

 そんな貴方の想いの重さに私は応えられない。そう感じた私は貴方と距離を取った。

 少しが欲しかった。

 その間が私と貴方の関係に歪みを生み、貴方は私に別れの言葉を投げ掛けた。

 貴方は私に「さよなら」と言い、私は「今までありがとう」と答えた。

 引き止めなかった私に貴方が見せたあの悲しげな笑顔の意味、その気持ちはよくわかる。今の私が同じ気持ちだから。

 きっと私達はまだ互いを愛しているのだろう…

 勝手な私は本音を言えず、いつも似たような別れを繰り返す。

 恋は勝ち負けではないけれど、私はまだ一度も恋に勝ったことがない。

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