手がみ@手のひらに書いたメッセージ
「ただい…あ、寝てる」
家に帰ると今日も母が居眠りしていた。
ここ二カ月、母は私の帰る時間に起きていた試しがない。
原因は私だ。
私の所属している剣道部の活動費によって母はこうなっている。
部費事態はそれほど高くはないが、そもそも剣道には消耗品の道具が多くある上に強くなればなるほど遠征費が掛かる。
普段は私自身もバイトをすることで何とか家計をやり取りしてきたが、二カ月前から私はバイトを休み、母が二倍働いている。そしてそれは明後日の全国大会を終え、事後処理が終わる今月末まで続く予定になっている。
県大会を突破した日、母は唐突に「あんた暫くバイト休みなさい」と言った。
理由を訊くと母は「大学行かないんだから学生時代最後でしょ。最後くらいは集中させてあげたいの」と答えた。
私は母の
『ありがとうございました。本番も頑張ります』
私は母の掌にマジックで文字を書くといつも通り部活後のウォーキングへ出掛けた。
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