二人の終着点@遠回りとすれ違いの末に…
「こんばんは…」
「!?」
煩わしさを感じながら応対した夜九時過ぎの訪問者は思わぬ人物だった。
「久しぶり、だね…」
懐かしいその声は十年前と全く変わっていなかった。
「え…ああ、久しぶり。なん…」
「離婚したから帰ってきた」
「!!」
俺の質問を先読みした彼女はそう言った。
「…そっか。上がってくか?」
「いい。実家に帰ってきたばっかで変な噂になるのヤだし、挨拶だけにしとく」
「話があるなら明後日は仕事休みだから」
「ん。じゃあ明後日くるね」
「ああ、またな」
俺と彼女は十年前に付き合っていた。
当時はまだ高校生だった俺は卒業後に彼女と結婚してこの町で暮らすことを夢見ていたが、彼女が彼女自身の夢を追い求めて単身上京した事で俺達の関係は自然消滅した。
あの時、彼女が上京する前夜に架かってきた彼女からの電話に俺は出なかった。
あの日、彼女が何を伝えようとしたのか…それはもうどうでもよかった。
今はただ、懐かしかった。
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