「ん。これやるよ」

「チョコ？…あ、そーいや今日はバレンタインか」

「言っとくけど義理だかんな。超義理だかんな」

「わかってるわかってる。毎年ありがとな」

「………」

『なんもわかってねえーーーーーっ！！！』

　私は叫んだ。心の中で…

　中学時代からもう四年も繰り返しているバレンタインデーの悲劇。いやむしろ喜劇とも言えるこのやり取りに対して私は心の中で想いをぶちまけることしか出来ない。

「美味（うま）い！俺の好みに合わせた紅茶風味のチョコは最高だ！」

「あんま大声出すな。お前の分しか用意してねーんだから」

「わかってる。わかってる。手作りは量産できねえもんな」

　やっぱこいつ…

『なんもわかってねえーーーーーっ！！！』

　フツーの手作りチョコなんて溶かして固めるだけなんだよ！でもこれは紅茶風味出すのに手間かかってんだよ！なんのための手間か気づけよ！

『私はお前が好きなんだよ！！！』

　私の心の叫びは今年も届くことはない…

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