木曜の朝のコミュニケーション@ゴミの分別

「あっ!また間違えてる!」


「すみません。えっと、今回は何が…」


「ハイハイ。教えてあげますよ。まずはこれでしょ、それと───」


 引っ越してきてから早二ヶ月ほどが経過したが、この地域の資源ゴミの分別が細かくて困る。ペットボトルは開閉の有無を示す為に意図的に残してあるリングも外さなけらばならないし、紙はカラーか否かで分ける為に雑誌は切り分けなくてはならないなどのルールが多岐にわたって存在する。


「───わかりました?」


「はい。いつもありがとうございます」


 実のところ、最初はじめからわかっている。俺は敢えて分別を覚えていないふりをしているだけだ。

 週に一度の資源ゴミ回収日である木曜日の朝。好意云々ではなく、単なるコミュニケーションとしてアパートの管理人と話す為の凡ミス。

 田舎を離れて間もない頃からのほんの小さなコミュニケーションタイム。

 今日もまた笑顔でを受け、「いってらっしゃい」の言葉でそれは終わった。

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