ルーレットが決める愛の行方@愛の勝負師

 男の右手には緊張感から滲み出た男自身の汗でじんわりと湿った球が握られていた。

 緊張の理由…それは男が0以外のを出せない為だった。

 それは、男がで出逢った女との一度きりの勝負。女へと申し込んだ男の愛の告白の成否ゆくえを問う

 普通の会社員サラリーマンの男と生粋の勝負師ギャンブラーの女…出逢った男女ふたりは互いに惹かれ合って恋に落ちた。

 男女ふたりの出逢いから三年が経過したある日、男に結婚を申し込まれた女はを出した。


欧州方式ヨーロピアンスタイルのルーレットでたった一つのグリーンである0を出せば結婚する』


 勝率約3%という部の悪い勝負かけを男は受けた。受けなければ女が黙って男の前から消えるだけだと知っていたからだった。

 そして、球は投じられた。

 その出目けっかは…


「ぐううう…」


「…はい。で貴方の勝ち」


 一度ノワールの13へと入った男の投じたその球を、女がそっと手に取り0へ置いた。

 女は男が3%という勝負かけに挑むを持って結婚を申し込んだか否かを確かめたかったのだ。

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