チークダンスは踊れない@屋上から眺めた炎

『ピンポンパーン!いよいよ最高潮クライマックスの大チークダンスタイム到来!燃える炎!触れ合う肌と心!これは告白の好機チャンス!皆さんはりきって…うわあっ!?ごめんなさい!すぐ出ます!以上、新聞部で…はい!すみません!反省してます!』


「なんだそりゃ…」


 一人の新聞部員が行ったその放送は本物の想定外ハプニングだったらしく、裏で数人の男女が怒る声がした。


「ふふ、変な放送」


 隣にいる委員長が笑っていた。


「あ、私とチークダンスしてみる?」


「バカ言うな。あんなもん女の踊りだ」


「ふーん…じゃあ、男の踊りはなんなの?ツイストとか?」


「バーカ。くだんねえ事言ってねえで行こうぜ」


「え?行くって…校庭に?」


「屋上。上から皆を見てやろうぜ?」


「う、うん!」


 その日、俺と委員長は二人だけで屋上へ行き、校庭で炎を囲んでチークダンスを踊る連中を上から眺めた。

 下の連中は光に照らされ、上にいる俺達は闇に包まれていた。

 ただ一人だけいればいい。

 そう思った。

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