相言葉@ビルの玄関
「おはようございます。今日は寒いですね」
「おはようございます。こう寒いと夏が恋しくなりますよ」
俺と彼女はいつも同じ時間に出社し、毎朝同じ様に挨拶を交わす。
別に同僚というわけではなく、互いの会社が同じビルに入っているだけだ。
今年の四月に新入社員として入社した俺は同じく新入社員だった彼女に一目惚れした。とはいえ、恋愛に奥手な俺が違う会社の女の子に声を掛けるなど不可能だった。
しかし、ちょっとした偶然が俺と彼女の距離をほんの少しだけ近付けた。それは、互いに毎日寸分違わぬ規則で行動するほど時間に正確だという事だ。
気がつくと、俺と彼女は毎朝必ず同じ時間に玄関で顔を会わせていた。
そんな日々が続いたある日、俺は彼女に声を掛けた。
それは、声を掛けるというほどの大それた事じゃない。
おはようございます。
その日から、それが俺と彼女の相言葉になった。
春に出会ってから半年
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