受験当日@朝の挨拶
「じゃ、いってきます」
「ちょっと待った」
思わず呼び止めていた。いつもなら俺が先に家を出るのだが、受験当日の今日、娘は受験会場まで行くために俺より先に家を出ようとしていた。
「なあに?」
「何ってわけでもないんだけどな。何て言うかその…気負うなよ。今日までお前が努力した分、結果は必ず着いてくるからな」
父子家庭でやりたいこともやらせて上げられなかった娘に対して、俺がかけてやれる言葉なんて多くはなかった。
本当はたくさんの言葉で少しでも不安を拭って送り出してやりたかった。
「お父さん…わかってるって、私は大丈夫だよ。ていうかお父さんが気負ってんじゃん!もー!しっかりしてよ!」
「え?ああ、悪い。自分の時より緊張しちゃってるかも…」
「ふふ…お父さんらしいね。でも、ありがとね。お父さんがお父さんらしいお陰で私は緊張しないですみそう。じゃ、改めて…いってきます」
「いってらっしゃい」
娘は今日も娘らしい笑顔だった。
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