ロックに涙は似合わない@解散ライブ

「アンコール!アンコール!」


 ライブハウスの中は二度目のアンコールに包まれていた。

 それに答えるように再びバンドメンバーが姿を見せると大きな歓声に包まれた。


「二度もアンコールありがとう…それじゃ、次の曲がです」


 その言葉にライブハウス内は悲痛な歓声に包まれた。


「…この曲が俺達の原点でした。この曲を作った時のメンバーは俺とベースのツネしか残ってないけど、この曲は、ギターのタカくんとドラムのマコトさんもバンドに加わる前から気に入ってくれていた曲で、この曲があったからこそ、このバンドに加わったと言ってくれている曲です。では………」


 そこまで言うと、ボーカルの男はマイクから顔を背け、目を瞑って天を仰いだ。


「くそ……おいお前ら!ロックバンドが泣いて解散なんかダセェこと似合わねえよな!ラスト一曲!最高に盛り上がっていくぞ!ドリーム!」


 この曲でバンドは解散し、四人は新たな夢に向けて出発した。

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