手紙の行方@代筆

 僕の趣味は代筆だ。

 今回は同級生の女子の依頼で恋文ラブレターを書いた。


「はいこれ。写して宛名入れてね」


「わかった!ありがと!お礼は明日のこの時間にここで!」


「いやお礼は…」


 断る僕に彼女はと強引に約束した。


 翌日、僕は約束通り視聴覚室に来た。

 匿名性を保つために僕は毎回違う教室で依頼人と会っていたが、今回は二回続けて同じ教室へ来た。


「あ、もう来てたんだ」


 中に入ると彼女がいた。


「うん。来てくれてありがと」


「それはまあ…」


「あのね…えっと…」


 彼女は何故かしていた。


「こ、これ!」


 手紙を渡された。


「…もしかして気に入らなかった?」


「あ!そうじゃなくて!…とにかく読んでくれない?」


「ん?…わかった」


 それは、少しだけ内容が変わっていたが、昨日彼女に渡した恋文ラブレターで、宛名にはがあった。


「ん?何これ?」


 状況を把握出来ない僕に頬を真っ赤に染めた彼女が言った。


「その手紙さ…じゃダメかな?」

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