素っ気ないあいつ@第二ボタン
「先輩!第二ボタンください!」
あいつはまた後輩に声をかけられていた。
「ごめんね。ボタン自体がもう無いんだ」
「えー!…じゃあ写真お願いします!」
「うん。それなら別に」
あいつは何人もの後輩の子と順番に写真を撮っていた。
「ふん!何がそれなら別によ…」
私はその様子を遠くから見ていた。
卒業式と言っても私は他のみんなと違って何の感慨もなかった。
都会暮らしだし、 友達の連絡先は知っているので会おうと思えばいつでも会えるからだ。
「あ、おい!お前も写真どうだ?」
あいつが私に声をかけてきた。
「私はいいよ。可愛い後輩ちゃんと撮ってやんなよ」
(全く、私の気持ちも知らないで…最悪…)
「良いから撮ろうぜ!」
「ちょっ…あ…」
私はあいつに手を握られて写真を撮った。
その時、あいつの手から何かを渡された。
それは制服のボタンだった。
「それ、第二ボタン。お前に貰って欲しくてさ…」
そう言うとあいつはまた後輩のほうに戻った。
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