月に照らされた頬@呟きは計画的に

 俺は会社の忘年会の二次会に来ていた。


「ね?今日は何で二次会まで来たの?」


 話しかけてきたのは同期の女の子だ。


「…無視シカト?あれ?もしかして限界グロッキー?」


 図星だった。

 俺は付き合いで呑んだ一杯で気持ち悪くなっていた。


「あらら?ヤバそうだね。吐きそ?トイレ行く?」


 彼女は仕事中でも俺を気遣い、俺のミスを一緒にカバーしてくれていた。


「ごめん…大丈夫……う…」


「本当にヤバそうだね」


 すると彼女は場を仕切っていた上司に声を掛け、こう言った。


「ほら行くよ」


 俺を連れて店を出た彼女は、近くの公園のベンチに俺を座らせるとコンビニに行った。


「ダセえな俺…」


 俺は無意識に夜空を見上げ、独り言を言っていた。


「なんで俺なんかに優しくしてくれんのかなあ…どんどん好きになっちゃうよ…」


 ガシャン…


 近くで物音がした。

 音がした方向を見ると彼女がいた。


 月明かりに照らされ、朧気に見える彼女の頬は…酒を呑んだ影響か、紅く染まっているように見えた。

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