「コンビニ寄ろうぜ」

　友達と旅行に来ていた俺は、そのコンビニの近くにある縁結びで有名な神社の観光を終えたところだった。

　そこは縁結び以外にも名物があり、それは見つけると幸せになれる兎の話だった。

　俺はどちらも信じていなかったが友達には信じている奴もいた。

　何となく、俺はその兎の話を店員の女性にした。

「お姉さん、神社（そこ）行ったことあります？兎、全部見つかりました？自分は何となくそれっぽいのしか見えなかったんですけど」

「にゃはは。あんなのはそんな感じで良いんですよ。それぞれが見たものを兎だと思って信じていればそれは兎なんです」

　それを聞いて俺は愕然とした。

　幸せになる秘訣とはそういうことだと感じた。

　見知らぬ人の言葉がこんなに心に響いたのは初めてだった。

　にゃはは。

　現実世界でナチュラルにこんな笑い方をする人も初めてだった。

　旅行先で立ち寄ったコンビニで俺は人生で初めて一目惚れをした。

　正確には一言惚れだった。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい