浴衣を着たあの子@言葉を奪われた瞬間

「お待たせー」


「遅れてごめんね、男子」


手間取っちゃって~」


 俺達は男女八人で花火大会を見に行く約束をしていた。

 しかし、待ち合わせ場所に来た女子達は三人で、の姿がなかった。


「あれ?あの子あいつは?」


「あー…」


「そうね…」


「あの子は~…」


「「「後でくるから待ってて!」」」


 女子達は見事に


「あたしら六人で先に行ってるから。二人は後で来て!」


「ほら他の男子あんたらも行くよ!」


「場所は連絡するから~」


 そう言って女子達は男子達を連れていき、俺は独り待ちぼうけを食らった。


「ご…ごめん、待たせちゃったかな?」


「いや、まだ五分くら…!!!」


 振り向いた俺の目に飛び込んできたのはあの子の姿だった。


「えへへ…どうかな?


「………」


 言葉が出なかった。


「ちょっと、何か言ってよ。せっかく浴衣着てきたんだから…」


「あ…ああ、すごく似合ってる…」


 初めて見た浴衣姿のあの子は可愛かった。

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