ビー玉と男の子@ある夏の一日

「くっ!この!」


 駄菓子屋に行くと、知らない男の子がゲームをしていました。


「あー死んだ!…君だれ?地元の子?」


「!!…う、うん。そう。私はすぐそこに住んでるの」


 ゲームを終えた男の子が急に話し掛けてきたので少しビックリしました。


「へー!なあ!この辺案内してよ!オレ、夏休みで一昨日から婆ちゃんに来てんだけど、知り合いいなくても出来なくて。今日の夜に帰るから、その前に探検したいんだ!」


「う、うん。わかった。私で良ければ…」


 地元の男の子とは違う雰囲気のその子に私は不思議な魅力を感じ、一日中町を案内してあげました。


「あー楽しかった!ありがとな!君が教えてくれた場所、一生忘れないよ!」


「そ、そう?なら良かった」


「あ!これ、俺の宝物なんだけど君にやるよ!」


「わあ!キレイ…」


 男の子は真っ赤なビー玉を私にくれました。


 その年の冬に私の家は引っ越したので、その男の子と二度と会うことはありませんでした。

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