果実


 私も貴方も、犬や猫も鳥も小さなありでさえも、平等に与えられた果実。この果実は繊細で、簡単に消えてしまうし、簡単になくなってしまう。これを食べて私たちは生きているのだ。


 私の果実は蒼く見える。貴方は私の果実が何色に見えたのかな。そこにいる犬は何色に見えるのかな。猫は。鳥は。ありは。


 貴方の果実は赤に見える。そんな炎のように輝く赤が羨ましい。その甘美な果実を食べられるなんて羨ましい。私の果実はとても苦くて、もう、食べたくないけれど、食べなければ生きていけない。


 そんな時、貴方は自分の果実と私の果実を半分だけ交換しようと言ってきた。貴方は価値のない私の果実を受け取って、嬉しそうに微笑み、ありがとうって言ってくれた。


 その後、貴方と一緒に過ごすようになってから、私の果実がだんだんと熟していき、紅に見えてきたのだ。


 きっと、貴方に染められたのかもしれない。

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