第5話
「そんな事より、秋野さん」
「何?お姉さん、何でも答えるよ」
「どうして、危篤になったの?」
「それは、個人情報なので・・・」
いえ、そういう問題ではないです。
「話せば長くなるけどいい?尾張くん」
「どのくらい?」
「幼稚園の運動会の時の、園長先生の話くらい」
「わかった。待ってる」
「聞きたいの?」
「うん」
時間が流れた・・・と、思う。
「わかった。話すね」
「うん」
秋野さんは、話始めた。
「今日、部活の帰り、私はへとへとになってたの」
「うん」
「もう、疲れて早く寮に帰りたかったの」
そうか・・・寮生活なのか・・・
「で、近くの横断歩道で・・・」
「信号無視をしたの?」
「まさか。ちゃんと青信号を渡ったよ。私は」
「私は?」
秋野さんは、頷く。
「車が、猛スピードで来て、私を跳ね飛ばしたの」
「うん」
「その瞬間に、私の魂・・・この姿ね」
「うん」
「器から飛び出したの」
冷静に語るな・・・彼女。
「その運転手は、スマホをしながら運転していたの。器用だね」
「それって・・・」
なんなんだ?
冷静すぎる。
「でも、即死はしなかったね。まだ、かろうじて繋がってる」
「落ち着いてるね、秋野さん」
「私は、いつ死んでも悔いのないように、毎日を生きてきたからね。ひとつを除いて」
「ひとつ・・・それが、恋愛」
秋野さんは、拍手をした。
「正解」
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