第3話

「こら、私がここにいるんだから、探すな」

「いえ、集合写真で・・・」

「だめ」

「おケチ」


何、言い争っているんだ?

僕は・・・


「で、どうして秋野さんだっけ・・・ここにいるの?」

「何でだと思う?」

「死んだから」

「勝手に殺すな。私は、まだ生きている」

「まだ?」

「かろうじてね」


秋野さんは、長いヒモを僕に見せる。


「それは何?」

「幽体離脱。私の器は、今病院で生死の境をさまよっている」

「ウソだよね?」

「ううん。本当だよ。この私は魂。幽体離脱でここに来たんだ」


臨死体験か・・・

違うか・・・


「すぐに、戻るけどね。まだ死にたくないし」

「なら、なぜ僕のところに?」

「前から、君には興味あったんだ」

「冷やかさないように」

「違うよ。本当に・・・じっくり話をしたかったんだよ」


時刻は、深夜。

器は、昏睡状態だな。


「戻らないと、家族が不安なんじゃ」

柄にもない事を、口にしてみる。


「知らなかった?私は天涯孤独で家族はいないよ。医者と看護師さんは、必死だろうけどね」


当たり前のように語る。


「なら、どうしてそんな事までして、僕のところへ?もっとかっこいい人いるだろ?」

「うん。でも、飽きた」

「飽きた?」

「美男は三日で飽きるが、ブオトコは三日でなれる」


ほっとけ・・・

って、前置きが長くなったな。


「だね。じゃあ、本題に入るね」

「手短に頼む」

「やだ。」


わがままだな。


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