第2話

扇風機にむかって、「あーーーーー」は、気持ちがいい。

この楽しさを、発見した人に感謝だな。


『こら、無視するな』

先程の、女の子の声がする。


「どこだ?どこにいる?」

声を、荒げてみた。


自慢じゃないが、僕には彼女はおろか、仲のいい女友達もいない。

女兄弟もいない。


親戚にも、女という種族はいない。


母も、幼き日に他界。


学校は共学ではあるが、僕にとっては女性は背景でしかない。

女子たちも、僕を石ころのようにしか思っていない。


なので、間違っても女の子が尋ねてくることはない。


その時、先程の女の子のどなり声がした。

『こら、無視するな』


「空耳だな」

うん、そうだ。

空耳だ。


『どこ見ているの?上よ上』

上を見る。


パジャマ姿の女の子がいた。


「やあ。元気?尾張くん」

女の子と視線があった。


「だれだっけ?」

「やはり、わからないか。君は、クラスの女の子とは話さないものね」

「無視しておいて、良く言うよ」

「私たちは、そんなつもりはないけどな・・・って、驚かないの?」


何で、驚かないのかと、不思議そうだ。


「驚いて欲しいの?」

「うん。冷静もここまでくれば、表彰物だね」

「いやあ、それほどでも」


僕は、頭をかいた。


「褒めてないからね」

「知ってる。じゃあ、驚いてやる」

「お願いね」


僕は、深呼吸した。


「君は誰だ?どうしてここにいる?何者だ?名を名乗れ」

「うんうん」

「これで満足した?」

「まあ。妥協しておく」


妥協って・・・


「じゃあ、改めて・・・私は、秋野法子。君のクラスメイトです」

「過去形?」

「ううん。現在完了形」


ということは、クラスにいるのか?

探してみよう。

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