ツクツクホウシ
勝利だギューちゃん
第1話
ツクツクホウシ
とても、小さいセミ。
セミのなかでも、とても面白い鳴き方をする。
「ツクツクホーソ、ギヨスギヨスギヨス、ジー」
彼は、そう鳴く。
僕には、そう聞えるが、まあ合っているだろう。
その鳴き声が、名前になった。
毎年、夏の終わりから、秋にかけて、いっせいに鳴きはじめる。
彼らの声を聞くと、もう秋だなと感じるが・・・
猛暑のせいか、今年はまだ鳴いていない。
どうやら、セミというのは、気温で時期を判断しているようだ。
ちなみに彼と表記しているのは、オスしか鳴かないため。
念のため。
「暑いな」
外の空気を入れようと、窓を開けた。
少しは、風が入ってくるだろう・・・
閉めた。
ますます暑くなった。
なので、文明の利器にたよった。
クーラーをつける。
壊れてた。
まあ、働かせすぎたからな。
仕方なく、扇風機を出して来た。
スイッチをいれる。
最大出力発進。
羽が周り出す。
とても、涼しい。
しばらくは、このまま風とお友達になろう。
僕は、辺りを見回す。
誰もいないことを確認して、お約束をやる。
誰が最初にやったかは知らないが、その人は天才だ。
では・・・
「あーーーーー」
「やると思った。絶対にやると思った」
どこからか、女の子の声がした。
懐かしいよな・・・
でも、この部屋・・・といか、家にはだれもいないはず。
何者だ?
まっいいや、気にしないで続けよう。
「あーーーーーーー」
その時、先程の女の子のどなり声がした。
『こら、無視するな』
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