第26話 帰る場所
「はぁ……はぁあ……」
でかでかとため息を吐き散らかしながらとぼとぼと歩を進めるイブキ。先程ルーツに『変なかお』と言われて以来、まるで周りの闇を取り巻いて引き摺るように沈みきっていた。
対してルーツは、軽くステップを踏みながら改装された孤児院の内装を紹介するのに夢中な様子。そんな想い人の無邪気な姿を前にしても尚、彼の心が晴れ渡ることはない。
「へ、変な……かおか……」
「い…イブキ……まるで生きる屍のようだが……彼女自身、そこまで悪意があっていったわけでは…」
横を歩き、ルーツに随時相槌を打っていたカドリが、隙を見てイブキに話しかける。うつむいたままのイブキは、大きく息を吐いてから口を開く。
「……どうせ俺なんて…その辺に転がってる片っぽしかないスリッパだ。便所用のな」
「ならば彼女にもう片方のスリッパになってもらうまでだろう?」
「……あの娘をスリッパ呼ばわりすんじゃねぇ」
「……失敬」
心中を察したカドリはイブキのそばを離れ、ルーツに続く。少し離れていたユーミがそのカドリの背中を追い、なにかごにょごにょとイブキに振り返りながら呟く。
「……大丈夫。すぐ直るさ」
ユーミの頭を撫でるカドリの返事だけがはっきりと聴こえたイブキは、心の中で『治るわけねぇだろ畜生め』と彼の背をにらんだ。
「ここのテラス、だいすきなんです。日も当たってぽかぽかですし、なにより子供たちの遊ぶ姿がよく見れるんです」
ルーツが自慢げに両腕を広げて紹介するのは、丁度庭と連結した木造のテラス。ちょうど四人ほどが使えるであろう机と、横の長さに沿って作られたふたつの長椅子。程よく並べられた観葉植物が彩るなんとものどかな空間は、深淵に沈んだイブキの心を少しだけ癒す。用意された椅子に腰かけるカドリは『ステキだ』と呟いていた。
「なーにがステキだ…だよ。浸っちゃって」
カドリの正面に座り、頬杖をついてそっぽむくイブキ。やれやれと肩をすくめるカドリの前に、一杯のティーカップが出される。
「これは……」
「私のおすすめです。“みらくるゔぁいおれんするてぃめっとここあ”って子供たちは呼んでくれています!」
「ヴァイオレンスか……香りは…ココアだね…」
「ココアの粉を使っています」
「インスタントココアだね」
カップを持ったままツッコミを入れるカドリを他所に、ルーツはイブキの隣に座り、ぎゅっと距離を詰めてからココアを差し出す。
「クロさんも…どうぞ!」
「ふぉうよっっぴィ!!??」
彼女の透き通るような白い肩がイブキの腕に触れる。やわらかい感触に心臓が飛び跳ね、電撃を浴びた魚のように身体がのけ反る。カドリの隣に座ったユーミが、それに反応してココアをむせた。
「わっ! く…クロさん??」
ーーもしかして……やっぱりこの娘……
口を覆い隠して驚くルーツに背を向け、狂ったように鳴り響く心臓を押さえつけながら、すっかり沈んでいた疑念を再浮上させた。
ーー俺のことすきなんじゃね!?
顔の筋肉を緩ませ、間抜けな顔で小さく頷いているイブキを、前でココアを含むカドリはしっかりと捉えていた。
「ほら、元気になった」
「ほんとだ……」
カドリの隣に座るユーミは不思議そうにイブキを見やる。ふたりの注目に気付いたイブキは、まるで何事も無かったように体勢を戻してはココアを口に含む。
「……インスタントココアだな」
話題を逸らすように分かりきった感想を呟くイブキ。横のルーツは、用意した差し入れのケーキを並べていた。
「ところでルーツ」
自分のところにやってきたケーキを寄せながらカドリは切り出す。
「あの子は確か……ジェミニという子だったね? 僕が潜入していた頃は、ずっと“あの男”に付いていた印象だが……」
「あっはい…。ちょっと……“あいつ”が居なくなってから……取り乱したようになっちゃって……隙をみては脱走しようとするんです」
「あの男への信頼はとても深かったのだろう。突然のさよならに耐えられず、脱走してでも探し出そうとするほどにね」
“あの男”や“あいつ”というのは裏で人身売買業者と繋がっていた元孤児院の主、ダリガードのことだろう。横のユーミを心配させないようにあえて隠語で会話しているようだった。
「……んで…そんなことしてた野郎のこと信頼すんだよ」
ケーキを咀嚼するイブキが続ける。
「子供は純粋だからね。それに親からの愛情をもらっていない孤児とでもなれば、寂しがり屋さんにもなるさ」
「今もああやって楽しそうにしていますけど……どこかあいつがいないことに不信感を抱いたり、疑問を持ってる子もいます。ジェミニのような子が増えなければ良いんですが……」
「……慣れるのを待つしかないね。ところでルーツ。君はこれからもこの孤児院で働くつもりなのかい? いやらしい話、ちゃんとお金とかは受け取っているのかい? もし今もボランティアでやっているならばそろそろ……」
「はいっ! ユミちゃん! あ〜ん」
「……んっ……おいしい……なの」
親身になるように語りかけるカドリの質問が聞こえていなかったのであろうルーツは、彼に構わず自分のものだったいちごをユーミに食べさせる。
「……ぶれないね君は」
喜ぶユーミの表情につられて嬉しくなったのか、彼女の頬をつんつんとつついてはくすくすと笑うルーツ。あまりにも悪意の無い純粋な笑顔を前にして説教を諦めたのか、カドリは肩をすくめて笑った。
--あれ……? 俺会話参加しきれてなくね……?
横で目を閉じてココアの香りを楽しむルーツの横顔に『これが彼女のキス顔か』と、身の毛もよだつ認識を示していたイブキは、笑い合う3人を見渡してからハッとなる。
--あ……あれ? おっかしいな……ルーツは俺と話したいから隣に来たんじゃねぇのか? さっきからユーミやカドリと話してばっかじゃねぇか!
無意識にティーカップの縁をなぞり、いじけるイブキの耳には、楽しげに会話するルーツとカドリの声が嫌でも入ってくる。
「飴玉さんが残してくれた飴、好評でしたよ! もうちょっとで無くなっちゃいそうだし、また贈って欲しいなぁ〜? なんて」
「勿論。今度は倍にして贈ろう」
--あれ……もしかして……
「やったー! ……はっ!? や、やったね〜! ユミちゃん」
「おねぇちゃん……一番喜んでるなの」
「へ、え……そっかなぁ? ふふっ」
「君も好きになってくれたみたいでよかったよ」
--ルーツとカドリって……付き合っているのか!?
ピシャーンゴロゴロと、脳内で雷鳴が鳴く。
ーーカドリ……てめぇ………う、裏切りやがったな……
下唇を噛みしめ、力の限りカドリを睨みつける。焦点を彼の糸のように細い目元に絞り、虫眼鏡が陽の光を集めて紙をちりちりと焼き照らすような視線で射抜いた。
「君が入ってこないからだろう……」
「うるせぇ……うるせ……」
気がつけば『はやく終わんないかなぁ』とすら考えるようになっていた。彼女が自身を覚えていて尚且つ、隣に座ってくれたところまではよかったのに……
ーーあーくそ……ぜんっぜん参加出来ねぇ……。わかってんだよ。自分でなんか聞かなきゃってことくらいよ……。でも…なに聞けばいいんだ? 孤児院どうだった? みたいな話題はもう終わっただろ? 趣味はなんですか? とか聞けばいいのか?? あーもうわかんねぇちっくしょう!!!
頭を掻きむしるように抱えていた。つい最近ルーツと見張りをしていた時だってそうだった。まるで会話を続けることが出来ない自分に苛立ち、こうして勝手にイラついて貧乏ゆすり。
『変えなければならない』そう思考が動くのは、ごく自然のことだった。
ーーよしっ……ここでビシッと大変革だ。最初さえどうにかなれば……そっから先はどうとでもなる。つまり……インパクトだ……俺の中でインパクトのある話題……それさえ切り出せれば……俺は……変われるッ!!
ガタッと勢いよく席を立つイブキ。ルーツは勿論、カドリやユーミまでもが豆鉄砲を受けたように目を丸くして驚いていた。
「ど、どうしたんだい? イブキ」
唐突に緊急事態を告げるような表情で固まるイブキに、カドリは問う。
「……ふぅ…………ふぅ……フッ……!!」
ーー言え……イブキ。もう俺に選択の余地はないッ!! 俺にとってもとびっきりインパクトがあってルーツが喜んでくれるであろう話題ッ!! それは…もうひとつしかねぇ!!
「る、るるるるるーつって………き、綺麗だ、だよなぁ?」
刹那──。
嵐の後のにやってくるような静けさがテラス中に蔓延する。天井代わりに設置された蔦が、風に揺られて軋む音だけが救いになるほどの静寂。カドリは持っていたフォークを机に落とし、ユーミはわけも分からずオロオロとしていた。
そしてルーツは口元を覆い、わけも分からず固まっていた。
ーーや……やっちまったぁぁぁあああああああああぁぁぁっ!!!!!!!!!!!!
今すぐにでも逃げ出したいこの状況。しかし、自らぶん投げた爆弾を放置して逃亡を図るなど、最早テロ行為に等しい。責任をもって処理しなければならない。
「え……あ…あぁ………お、思っただけですぅ……うへ…あへ……うわっ」
ぱくぱくと口を動かすイブキ。頼みの綱であるはずのカドリですら、どうしようもうないと言わんばかりにそっぽを向いていた。
カドリに視線を向けている間に、ルーツはプルプルと震わせた指先で、イブキの胸を弱々しくつついて振り向かせる。
「く、クロさん……?」
「へ……はいぃ??」
「あの……クロさんは……その……わたしのことが……その……すき…なんですか?」
「ふぃえ??」
ーー超ド直球で聞いてきたァァァァァ!!???!
イブキの異次元な話題振りすらも凌駕する究極の質問に、彼は直立不動のまま動けなくなる。
とっくにショートした脳内は、考えるのをやめかけていた。
ーーえ? なんて答えればいいのこれ? 違いますって言えばいいの? いやいや流石に……。もしや…これもう『はいそうです』って言った方がいいよね?? 生きるか死ぬか、早いとこ判決を下してくれぇぇえええ!!
生唾を飲み干し、身体中から滝のように汗が吹き出していく。
「……? クロ……さん??」
ーーあ……あれ??
呼びかけるルーツと目を合わせ、イブキは混乱する。
ーーあれ? なんか……照れてね?
上目遣いでイブキを見つめる彼女は、妙に落ち着かないというか、細い人差し指を下唇に当て、もじもじと回答を待ち望んでいるように見えた。なんとなく顔も赤らんでいるような……とにかくトキめいているように思えた。
ーーえ? これもしや……悪くない反応……!? ほんとに!? 行けちゃう? このまま好きって言ったらYESって返ってきそうなノリじゃない!? ガチャで例えたら後10連回せば天井行けますみたいな流れじゃない?? いいの? 俺言っちゃうよ?? はいっ! もういいます! ほんとにいくぞ? いくぞ?? 3! 2! いちぃぃ!?
「あ……はっ……」
その時だった。
「たいへん! るーつおねーちゃん!! ジェミニがまたにげたーーーー!!」
「はやくしないとにげられちゃう!」
突然背後から甲高い声が響く。イブキが振り返るよりもはやく、ルーツは反応する。
「え!? またですか! もーあの子は! すぐ行きます!」
固まるイブキの脇を抜けて突然報告にやってきた小さな女の子達にドタバタと続くルーツ。イブキは、どっと荒波が押し寄せてくるような疲労感に襲われ、長椅子に倒れ込むようにして座った。
「や……やべぇ………」
「イブキ。ぼさっとしていてどうするんだい?」
容赦なくカドリがイブキの腕を引く。
「ユーミちゃんはもう向かったようだ。彼女に遅れを取らない為にも、今度こそイブキの手で捕らえるんだ!」
無理やり立たされ、虚ろな視線をカドリに向けてやる。正直疲れている中無理やり起こされ鬱陶しく思ったが、ルーツとの交際が叶っていないのならばイブキに選択の余地はない。
それにジェミニにはコケにされたという借りもある。
「……あのクソガキ……覚悟しやがれよ」
疲労すら振り切る勢いで駆け出し、来た道を戻るイブキ。騒ぎを聞いて集まってきた子供達の間を縫ってなんとか見えてきたルーツの銀髪を目指す。
ーーっしゃ見てろおらぁ!!!
先程ユーミがやってのけた様に、アクロバティックに柵を飛び越え、どこかの特撮ヒーローよろしく着地時のポーズが綺麗に決まる。
『おー!』 と響き渡る関心の嵐は、孤児院の男子諸君。『やってきたぜ、君たちのヒーローが』と手を振り、先を目指す……
つもりだった。
「あっ……ああ!?」
アクセル全開だった身体に急ブレーキをかけて、止まる。
「はーなーせー!! 誰だおまえ!? まほーとか……反則だろーー!」
「人にぶつかっといて謝罪なしってさ……んまぁ、どこのガキんちょかしんないけど……相手が悪かったね」
「く……クルドぉ!?」
ジェミニの右手首を片腕で掴み、浅く被っていたフードを外す少女クルドは、数メートル先で叫ぶイブキに、クリクリっとした瞳を一瞬だけ向けてから空いている片腕をポケットの中に突っ込む。
「な、なにすんだよ!! はなし……やがれぇ!!」
掴まれたままの無理な姿勢で喚き、回し蹴りを浴びせようと片足を振りかぶるジェミニ。
「……っあ!?」
子供ながら、中々に綺麗な弧を描いた片足は、クルドの脇腹に到達することは無かった。
彼女に直撃するより前に、付近に浮遊させていたであろう電気を帯びた綿に当てられ、おかしな方向に足が逸れてしまったからである。
「……っつぅ…なにしや……がったんだよ」
そのまま派手に転び、スネを抑えて見上げてくるジェミニに、クルドは鼻を鳴らしてから……
「よっわ。タダでメシ食わして貰ってんだから大人しくしてなよ」
「くっそ……くそおおおおお!!!」
最高に馬鹿にした顔と言葉で、大人気なく(?)煽り散らかしていた。
「ちょっとジェミニ! いい加減…あっ……ひつじちゃん??」
イブキを追い越してクルドの元に向かうルーツ。舞い戻ってきた淡い香りに当てられ、イブキの表情は少しだけ綻ぶ。
「まっしろぉ〜こ…この変なやつが俺のこと急に突き飛ばしてきてよぉ〜……」
現場に追いついたイブキから見ても嘘泣きであることは一目瞭然だった。悪慈恵が働くタイプなのか、人一倍優しいルーツを舐め腐っているのかは分からないが……
「いや、おまえがあたしの肩にぶつかってきたんじゃん。身体に巡回してるマナみたげよっか? 嘘ついてる時はばらんばらんに動くらしいよ。無意識で」
どちらにせよ、クルドの悪慈恵スキルはジェミニなんかの比ではない。イブキは呆れたようにジェミニの頭に手を乗せて告げた。
「おいやめとけ。こいつはまじでめんどくせぇから」
「反省しなさい。ジェミニ」
ルーツが続ける。3人の年上に囲まれ、いよいよ観念したのかジェミニはシュンっと俯く。流石に可哀想に感じたが、恐らく相当の悪ガキであろう彼に取ってみれば、いいお灸になったのかもしれない。
「はいっ。借り1ね」
別のお手伝いさんに連れてかれるジェミニを見送りながら、クルドがまるで代金を請求する業者のようなノリで告げる。
ルーツが若干あたふたした様子で困っていたので、イブキはクルドの肩を掴んで引き剥がし、
「あ……ああいいんだ。気にしないで…くれ」
「い、いえ…こんど“みらくるゔぁいおれんするてぃめっとここあ”をご馳走しますね?」
『なにそれ』と目をぱちくりさせるクルドに、イブキはハッと目を覚ましたかのように捲し立てる。
「そ、そうだ! おまえっ! 俺はまだ……おまえを許して……」
「ごめん」
「……は?」
思わぬ回答にイブキはポカーンと口を開ける。
まさかクルドの口から謝罪の言葉があっさりと漏れるとは思っても見なかった。
「ご……ごめんってば。あ、あたしも言いすぎたって言うか……」
もじもじと恥ずかしがりながらも、上目遣いで素直に謝ってくるクルド。その光景があまりにも非現実的すぎて、思わずクルドの額に手を当てる。別にギャグでもなんでもなく本当に真剣に、彼女の風邪を疑った。
「な……なにすんのよ」
「いや、まさか……そんなあっさり謝罪されるとは思わないじゃん? お前から」
「し、失礼しちゃうなぁ……謝って損したよ」
「いやそういうわけじゃ……」
なんだか彼女なりの反省の心を嗤ってしまった気持ちになり、フォローに回ろうとするイブキ。構わず、つんっとそっぽをむくクルド。
『悪いこと言っちゃったかもな』と頬をポリポリとかくイブキの手首を、真っ白い手が覆った。
「ほえぷっ!??」
ぐいっと至近距離にまで迫るルーツは、少しだけ顰めた表情のまま子供に説教するような口調で
「喧嘩はダメですよ、2人とも。ちゃんと仲直り……ね?」
握ったふたりの手をくっつけるように合わせて間に割り込むルーツ。日々子供たちの面倒を見ていることもあってか、喧嘩の仲裁はお手のもののようだ。
そんな仲直りムード前回の雰囲気を引き裂いてでも、イブキは意地を張り続けるようなことはない。若干自身から視線を逸らし、今も尚不機嫌なご様子のクルドへ向けて……
「俺も……悪かったよ」
「あ、明日からはサボんなよな……」
時刻は夕時。道行く人々は仕事を終えて家路を目指し、民家からは食欲をそそる香りを孕んだ煙がもくもくと上がっている。ルーツも子供たちの夕食のお手伝いに回らねばならなく、イブキとクルドの仲裁のあと、ギャラリーとして集まった子供たちを連れて門の中に消えていった。
ルーツたちを見届けた後、相変わらずポケットに手を突っ込むクルドの隣を歩きながら、イブキは複雑な気持ちに襲われていた。
───まさか戻る気でいたとはね。
思い出すカドリの言葉。はじめこそ目が覚めたような感覚になったかもしれない。しかし、いつの間にか成り行きで入った龍小屋という組織を、まるで当たり前にある自分の居場所……実家のように想っていた。
「ただいま~ラディ。今日のごはんなに?」
「その辺に生えてる草でも食ってろ」
「うっざ」
悪態をつきながらクルドが座る机の上に、めんどくさそうな顔をしたラディが異世界風ハンバーグを並べる。当然のようにイブキにも出されたそれを、『うまそっ』とだけ呟いたあと、丁度良い大きさに切り分けてから口に入れる。
広がる肉のうまみを噛みしめながらも、イブキの眉間にはずっとしわが寄っていた。
ーー俺……どうしたいんだろ。
いつの間にかいなくなっていたカドリの存在に気が付いたのは、食べ終えた後のことだった。
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