第6話 中学校生活始まる
時は平成28年3月。私は小学校を卒業した。しかし、やはり私の心にあったのはさみしさ。保育園の時だって、いろいろあったけど最後はさみしかった。そして6年たったいまでも変わっていない。すこし私は落ち込んだ。でもその感情は、不安によってみるみるうちに覆いつぶされてしまった。
不安で覆いつぶされた、といったが、卒業前に色々な機会を利用して私は中学校の情報を仕入れる機会はあった。例えば、学校見学。でもあの時は、お世辞にもよくわかったとは言えなかった。何故ならば、支援学級の見学でも普段の授業ではなく、体験学習に参加させてもらう形だったから。その後も、入学前の説明会に参加した。その時には、まず講堂に通され、生徒指導の頭髪をそった丸坊主のとんがり頭の先生が壇上に上がり、色々なことを述べていた。そのときとんがり先生の言った「この学校のことをッ!!色々と言う人はいますがあ!!!私は!!この学校はいい学校だと思っていますッ!!!!!!!!」無理をしたようなというか、信用ならない顔で言われたその言葉を聞いて、私は鳥肌が立った。その後にあった、特別支援部だけの質問会で私はやらかす。時は説明会の前夜。母と私が話す中で、母は「気になることがあったら、何でも質問していいんだよ。そうすれば、みんなのためにもなるから」そう言われた。私はその言葉を鵜呑みにしたまま、質問会に参加して、何個も連続して質問を繰り返した。しかし、そうしていると先生から、そろそろ次の人の質問に移りたい旨伝えられて、ハッとした。自分の質問がみんなのためになるのは間違いのないことだとしても、自分がほかの人の持っている疑問を代わりに聞けるものではない。つまり、そういう状況を判断して、自分の行動を変える力が私には欠如しているのだと、そのとき瞬時に悟った。
そんな風にいろいろなことがあったが、結果的に私の不安がなくなったわけでも、新しい世界に心を躍らせるわけでもなく、不安ばかりが襲い掛かってきた。中学校に行くと、どうなってしまうんだろう。生徒同士の上下関係も未経験。中学校は荒れたところだと、地区の大人は口をそろえる。靴は白くなきゃとか、先輩に目をつけられたら終わりだとか、勉強の速度が上がって、部活も強制参加で、いくらお前でも今のままでは勉強についていくのは無理だとか。給食の時間が短く、1年生は食べる時間が10分ほどだとか、小学校のころのような手厚い支援はできませんとか。様々な立場の大人たちが、いろんな視点から自分のためにと、情報をくれる。でもその情報が、かえって私の脳内を駆け巡って、それでも状況を処理できなくて、また混乱して。いつの間にか入学の日を迎えていた。
そして入学式初日。私は真新しい制服に身を包み、自転車をこいで家を出た。道のりは小学校のころに走ってみて状況を記憶してある。とりあえずそこだけは安心だ。中学校についた後は入学式に参加して、卒業式でやったのと同じように、周りの動きと乱れることなく、集団に入り集団の一員を演じた。その後は学級で在校生たちからの歓迎を受けた。小学校のころに乱闘を繰り返した先輩も、笑顔だった。ここで、私の入学式の時の記憶は終わる。
その後は、中学校の現実を見せつけられた。あのときに歓迎してくれた先輩方も、普段の行動パターンに戻ったようで、入学式の時は何だったの?と思うほどにドロドロとしていた。そのことを信頼している先輩に聞くと、「あ~。あの時はいつものみんなじゃないからね~。」とのこと。これが中学校の現実か。そう思った。喧嘩は起こるし、授業のスタイルも教科担任制になったことにより、先生によってバラバラ。だから環境に適応するのに大変な労力を使った。
そんな中ではあったが、どうにかこうにか金曜日まで持ちこたえた。しかし、土日の間にも体力は回復せず。私は次の週からは、遅刻や欠席を連発するようになる。
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