第19話 双子姉妹のアプローチが凄すぎるのだが?
「トーくんー!」
「トーくん〜」
ソファーに座る俺の両端には、楓音ちゃんと汐音ちゃんが満面の笑みで手を絡ませてくっついていた。
しかも、自分の胸らへんに押し付けるようにしているような……。いやいや、2人がそんなことするはずないよね!
でも、そんな満面の笑みを向けられると離れてとは言えないなぁ……。
「それで2人とも、さっきの話はどういうこと?」
顔を引きつらせた加奈が2人を交互に見る。えと、何で怒ってるんだ?
「お母さんが短期出張になってー」
「それで、おばさんに頼んだら面倒見てくれるって言ったから〜」
楓音ちゃんと汐音ちゃんは簡単な説明をし終えた後、さらに密着していた。
2人は加奈と同じ中学3年らしい。加奈よりアレは劣るが……やはり鳴海家の血筋を受け継いでいて、美少女だ。
「2人とも、どのくらい住むの?」
「んーと、3週間くらいかな?」
「でもでも、ずっとここにいてもいいよ〜? トーくんも私たちといたいでしょ?」
「えーと……」
確かにこんな可愛らしい子と暮らせるのは嬉しい。だがこのままだと、母さん、姉さん、加奈、楓音ちゃん、汐音ちゃんの計5人の美人、美少女と過ごすことになる。前世で非モテだった陰キャな俺には耐えられない空間だ。
「そ、そうだね。2人がいた方がもっと賑やかになって楽しくなりそう」
でも2人が悲しまないためにもこう答えるしかないよな。
俺がそう言うと、2人は嬉しそうしていた。
「……2人とも、そろそろお兄ちゃんから離れてくれない?」
「なんでー? カノ、お兄ちゃんに久々に会えたからもっとくっつきたーい!」
「加奈ちゃんは毎日会えるからいいけど、シノたちは会えないもん〜」
「むぅ……」
加奈が頬を膨らませ、あからさまに不機嫌モードをアピールをしている。このままだと今夜の夕飯がなくなる可能性が……。
「か、加奈? お兄ちゃんの膝の上が空いてるぞ?」
視線を下に落とし、呼びかける。すると、加奈はトコトコと俺の前に来て……
「むすぅ……」
ピョンと膝の上に乗ってきた。
いつもなら頬を赤らめて恥ずかしがるのに、今日は寂しいという感情の方が上だったようだ。
「あー! 加奈ちゃんだけずるーい!」
「シノもトーくんのお膝に座りたい〜」
「俺は遊園地のアトラクションじゃないよ? 2人とも?」
それから3人で交代交代に場所を変え、2週目を回った頃だった。
「ねーねートーくん!」
右側にいる楓音ちゃんが嬉しそうに俺の腕をクイクイと引っ張ってきた。
「ん? 何?」
「あのねー!」
「うん」
「お兄ちゃん狂を設立しよっか♪」
「えっ?」
お兄ちゃん狂って……なに?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます