第16話 学園生活〜生徒会に誘われたのだが?

 あの後、湊と颯汰と分かれ、靴箱の前で姉さんを待っていた。


「真依さん、遅いですね」


 みぞれさん一緒に。

 みぞれさんは俺のボディーガードをしてくれている。女の子に守られるなんて情けない。まぁいざとなったら俺が守るがな。


「何かあったのかな?」


 帰りのホームルームはとっくに終わっているはずだ。


「あっ、鳴海くんとみぞれちゃん」


「ん? 朝倉さん」

「あら、陽茉利さん」


 すると、丁度今から帰える朝倉さんと出会った。


「どうしたの?」


「姉さんを待っているんだ」


「姉さん? あっ、真依のことだね」


「そうそう——って、え?」


「え?」


「姉さん、副会長なの?」


「う、うん」


「ご存知なかったですか?」


「全く」


「家族内でそういうのは把握してあると思ってました。すいません……」


「いやいや、みぞれさんが謝ることじゃないよ!」


 自分のことに手一杯で聞くのを忘れていた。


「みぞれ……さん?」


 朝倉さんがそう呟いた。


「鳴海くん、みぞれちゃんと随分仲がいいんだね……」


 何やら悲しそうな表情の朝倉さん。


「ふふっ、私が下の名前で呼ばれているのに嫉妬してるのでしょう」


「み、みぞれちゃん!? た、確かに羨ましいなとは思ってたけど、嫉妬まではいかないよ……って、わわ! 私今、正直に……」


  何やら顔を真っ赤にしてあわあわいる朝倉さん。そしてその朝倉さんを微笑ましく見ているみぞれさん。


 とりあえずこう言った方がいいのかな?


「下の名前で呼べばいいの?」


「えっ、あっ、いいの……?」


 別に下の名前で呼ぶくらいいいよね?本人の許可さえ有れば。


「じゃあ陽茉利さんってこれから呼ぶね」


 そう呼ぶと朝倉さんの顔がさらに真っ赤になった。


「じゃあ俺のことも隼人で」


「……は、隼人くん」


 なんか顔を赤らめながら頑張って言う陽茉利さん、可愛いな。


「隼人……!」


「あっ、姉さん」


 そんなことを思っているとバタバタと急いで走ってきた姉さんが来た。


「だ、だ、だ、大丈夫だった!? 女たちに変なことされてない!?」


「あ、うん。大丈夫だったよ……!」


 俺の肩を握り、鬼気迫る表情でそう聞いてきた。後ろにいるみぞれさんと陽茉利さんは苦笑していた。


 そして姉さんの後ろにはもう一人いた。


「やぁ、君が真依の弟君かい?」


 茶髪のボブに茶色の瞳。一言で言えばボーイッシュな人だ。しかし、スカートを履いていることから女の子と分かる。


「そうです。俺が鳴海隼人です」


「初めまして、私は生徒会長の神宮寺姫与じんぐうじきよです。ほほーう、君は中々のイケメンだねー」


「あ、ありがとうございます」


 会長さんにそう返すと、姉さんがいきなり俺に抱きついてきた。


「む、いくら姫与でも隼人はあげないからね!」


「とらないよ。今はね……?」


「姫与!」


 会長がそう返す姉さんはまた何やら言っていた。


「ところで隼人君」


「はい?」


「いきなりだけど、生徒会に興味はないかい?」


「生徒会……ですか?」


 つまり姉さんと一緒。抱きついている姉さんは期待の眼差しを俺に向けていた。


「まぁ今無理して出す必要はないよ。いい返事を待ってるね。それと」


 会長は俺の後ろにいる陽茉利さんとみぞれさんに視線を移した。


「陽茉利さんとみぞれさんにも是非、生徒会に入って欲しいね」


「えっ、あ……」


「考えてはおきますね」


「うん、頼むよ。それじゃあ私はここで失礼するよ。じゃあね、みんな」


 そう言い会長さんは去っていった。

 なんかクールでカッコいい良い人だったな。

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